政治語ったあの夜から 石田純一さん「ご覧の通りです」
芸能人が政治を語る――。それはとても勇気がいることだと俳優の石田純一さん(65)は言う。2015年7月、国会議事堂前であった安全保障関連法案への抗議集会に参加してから、とりわけその思いが強くなったのだという。あの時、一体何があったのか。話を聞いた。
日本では政治を語る風土、文化があまりなく、それが芸能界にも反映されているのかなと思う。芸能界に40年近くいますけど、「芸能人はノンポリであれ」という暗黙のルール、同調圧力みたいなものが日本には根強くあり、自分自身、これまでメディア上で政治的発言をちょろっと臭わすことがあっても、基本的には発言を控える側でした。
でも、考えが変わったのは、集団的自衛権行使を容認する安全保障関連法案の議論が起きた2015年です。
憲法を変えずに解釈を変えることで、専守防衛から海外へも戦争に行けるように転換するのではないか――。田中角栄さんなり中曽根康弘さんなり小泉純一郎さんなり、歴代自民党内閣がなしえなかった大きな歴史的転換が目の前であっさり起きようとしていた。自分の息子が戦争に行く道筋がつく恐れがある。そんな怖さを感じました。
だから、参院特別委で法案が強行採決された9月17日の夜、僕は国会前の抗議集会に行くことにした。雨が降りしきり、肌寒さを感じる中、レインコートを羽織って行った。
家族に迷惑をかけるかも――。そんな怖さや不安はもちろんありましたよ。